第四部
旧市街から西に約20kmほどの所には爆心地があり、その隣にはオリンピック会場があった。
今やここは、瓦礫が散乱した平地になっていた。
金田たちはここを目指していた!
大東京帝國から脱出して10分ほどで、上空には2機の大型ヘリコプターが騒音と共に飛び始めた。
少年たちはすぐに発見され、上空からライトで照らされながら走行し続けていた。
上空から見た少年たちの様子は、地上にいる特殊部隊へ逐一報告された。
地上では、伝えられた情報を元に、装甲車数台が少年たちを追いかけていた。
軍事用に特別に改造された装甲車は、性能的に少年たちのバイクより上回っていた為 少年たちと特殊部隊との距離は見る見る縮まって行った。
金田『オリンピック会場まであと10km… 逃げ切れるか…?』後方を気にしながら、フルスピードで突き進む!
併走していたメンバーが金田に声をかけた!
『T.L.D.成功させろよ!』
そぅ言い放ったメンバーは、突き出した左手の拳の親指を立て“good ruck”と伝えると、バイクのブレーキをかけた!
金田はその意味をすぐに理解した!
金田『必ず成功させる!』
その声はバイクのエンジン音に消され、メンバーには届かなかったであろうが、その必要は無かった。
今はメンバー全員が同じ目的を達成する為に、同じ気持ちを持っているからだ!!
一人、抜け落ちたメンバーは道路の真ん中にバイクを停止させた。
メンバー『これで、何分?いや、何秒?の時間稼ぎが出来る?これでいいんだ。』
その表情はどこか晴れやかで、自分のやるべき事をやり遂げた達成感に満ちていた。
いつの間にか止んだ雨に気づきふと上を見上げると、薄明るくなった空が朝を迎える事を知らせていた。
直後に装甲車がやってきた。
『腹這いになり、手足を広げろ!』
特殊部隊に囲まれた少年は言いなりになり、無抵抗のまま引きずられる様に拘束されていった。
他の装甲車は、その様子を横目に抜き去り先を急いだ!
金田『ジョーカー!後ろはどぅなってる?』
フライングプラットホームで上を飛びながら併走していたジョーカーは、高度を上げ後方を確認した。
ジョーカー『駄目だ!全く効果なしだ!すぐ追い付かれるぞ!』
メンバー『金田!二手に別れよう!俺たちは別ルートからオリンピック会場を目指す!』
金田『了解!』
メンバー数人のグループは交差点を曲がり、ルートを変えた!
少年たちが二手に別れた事で、特殊部隊も半分に別れるはずだった…。
が、装甲車は全て金田側のグループに付いて行ってしまった!
上空のヘリからの情報を元に、金田たちの目的地を割り出していたからだ!
甲斐『ヤバいぜ!おい!金田ぁ〜!』
装甲車は真後ろまで迫って来ている!
特殊部隊『止まりなさい!このまま走行を続ければ、強攻策を実行する!止まりなさい!』
スピードを緩めない金田たちに装甲車は体当たりを仕掛ける!
間一髪、それをかわすメンバー!
しかし、装甲車は道路のガードレールに幅寄せをしてきた!
メンバーは急ブレーキで回避したものの、バランスをうしない転倒してしまった!
それでもまだ装甲車の追撃は止まない!
右へ左へ車を振って、金田たちの走行の妨害をしてきた!
金田『あと少し!あと少しなのに!』
オリンピック会場は目の前まで来ていた!
すると、道路前方のわき道から次々とバイクが飛び出してきて、道路中央に停車した!
さっき二手に別れたメンバーたちだ!
追っ手の追撃が無かった為、わずかに金田たちを追い抜いていたのだ!
メンバー『止まるな!そのまま進め!行けぇ!!』
金田たちは、停車しているバイクとバイクのギリギリの隙間をフルスピードのまま通り過ぎた!!
停車しているバイクを見た装甲車は、回避出来るスペースを探したが見つからずやむなく減速。
メンバーたちの“壁”に停車させられてしまった。
“壁”となったメンバーたちはその場で全員が拘束された。
メンバー『これで少しは時間稼ぎが出来ただろう。たのむぜ金田!』
護送車に捕らわれた少年たちは祈り続けた!
一方金田たちはオリンピック会場に到着しT.L.D.の準備に取りかかっていた!
上空には2機のヘリが旋回を続け、様子をうかがっている。
金田『ジョーカー!フライングプラットホームの燃料はまだ残ってるか?』
ジョーカー『あと5分は飛べると思う!』
金田『5分あれば十分だ!』
『作業はあとどれくらいで終わる?』
ジョーカー『もう少し…』
ケイ『金田くん…。』
『ようやくここまで来たわね。これですべてを終わりにしましょう!』
金田『あぁ、ケリをつける!俺たちのやり方で!』
ジョーカー『…出来たぞ。』
金田『よし、飛ばしてくれ!』
ジョーカーがフライングプラットホームに乗り込み操縦席につく、続いて後ろ側に金田が乗り込んだ!
ジョーカーはゆっくりと高度を上げ、地上50Mほどのところで停止させ、ホバーリングさせた。
金田は、操縦席に取り付けられている無線機のマイクを手に取り、話を始めた。
金田の声はジョーカーが取り付けた拡声器によって、大きな音となり何kmも先まで響き渡っていた。
金田『俺たちが独立を宣言したあの日“アキラはまだ俺たちの中に生きている!”と言った事には意味があるんだ。』
『アキラはすでにこの世にはいない… アキラだけじゃない!鉄雄もタカシもキヨコもマサルも…みんな行っちまった。』
『俺たちの中に生きているのはあいつらの“心”。意志を受け継いだんだ!』
『自ら考え、行動する。その単純な事を実際にやってみせたんだ!それが大東京帝國という独立国だ!』
『誰にでも出来るんだ!』
『みんな、忘れてしまっているだけなんだ!』
『誰の中にもアキラは生きて…』
パンッ!
乾いた銃声が響いた!
上空のヘリから放たれた銃弾が、フライングプラットホームのエンジン部分に当たった!
ジョーカー『やられた!』
『落ちるぞ!』
金田『くそっ!あと一言!』
『大東京帝國は、今日を最後の日とし これで幕を下ろす!』
飛行する力を失ったフライングプラットホームは、フラフラと回転しながら高度を落としていった!
金田『わぁ〜!!ジョーカー、降りろ!お前が重いんだよ!!』
ジョーカー『何だとぉ!お前こそ後ろに乗ってるんだから、降りればいいだろ!』
金田・ジョーカー『わあぁぁ!!!』
『ガッシャーン』
墜落したプラットホームの上に重なり合って横たわった金田とジョーカー。
金田・ジョーカー『うぅ…』
金田『お、お、重い…』
ケイ『金田くん!大丈夫!?』
金田『あぁ、何とか…』
甲斐『ゆっくりしてる時間はなさそうだぜ!』
足止めされていた装甲車が、近づいて来るのが分かった!
ケイ『金田くん!急いでバイクに乗って!』
金田『終わった!これで全部終わったな!』
『よし!行こう!!』
皆、バイクのエンジンをかけると次々とその場を後にした。
一番最後に走り出した金田は考えていた。
『さぁ、どこへ行こうか!俺たちはどこへでも行ける!!』
『無限の力を持っているから!!』
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